国立口之津海上技術学校ブログ

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National Kuchinotsu Maritime Polytechnical School

本校練習船口洋丸の入渠について

いつも海上実習で使用している本校の練習船”口洋丸”が、定期整備のためにドックに入りました。

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以前、大掃除の記事でお伝えした小型舟艇と同じように、普段は海水に浸かって見えない船底の部分にたくさんの海洋生物(貝類、藻類など)が付着していました。

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陸上を走っている車やバス、トラックとは異なり、船は抵抗の大きい水の上を航走しているので、このような生物の付着は、船速や燃料消費量に大きな影響を与えます。

一般的な商船は、自動車で言えば、アクセルをほぼ床まで(およそ85~90%)踏んだ状態で航走しています。水の抵抗が大きいので、その位アクセルを踏み続けないとスピードが維持できないのです。

重さやエンジンの出力が違うので単純比較はできませんが、自動車で床までアクセルを踏み続けると、スピードが出過ぎて事故を起こしてしまうか、違反で警察の御厄介になってしまいますよね。船と車では、それほど走るのに受けている抵抗の大きさが違います。

そのため、特に荷役中以外は昼夜問わず航走し続けている、商船の主機関(エンジン)で消費する燃料は膨大な量になります。大型高速フェリーや大型コンテナ船の1日の燃料消費量はおよそ200トン(ドラム缶1000本分)、燃料代は1千万円位になることもあります。

本校の練習船は小さいので費用は上記の例ほどかかりませんが、お金ををかけて船をドックに入れ、船体掃除・塗装を行うのは少しでも船体が受ける水の抵抗を減らすためなのです。

本校の卒業生が乗船する内航船でも、1%でも抵抗を減らすことができれば、大きな省エネになり、地球環境の維持に貢献できます!

 

入渠中の口洋丸の、普段は見えない、船底を撮影しました! 

①船の横揺れを抑えるために船底に付いているビルジキールです。

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②船内で使用する海水の取り込み口(=シーチェスト)です。船底に設けられています。

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③舵とプロペラです。

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船尾から、

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本船は小さいので、このようにスロープに引き上げられた状態で固定されています。

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今日は、入渠中の口洋丸の様子をお知らせしました。